ガンダムW感想文

新起動戦記ガンダムW(ウイング)の感想文。
はてなブログの下書きに突っ込んでた文章だが、そのまま載せるか悩んでこっちにもってきた。
ネタバレは抑え気味なので未見で読んでも多分大丈夫。多分。

TVシリーズ(全49話)

AGEのTV版と並行してレンタル視聴していて、一番最初に完走できたテレビシリーズはこれになりました。

公式サイト:http://www.gundam-w.jp/

なんでこれから観たのかって、アーセナルベース3弾で特集されてたりしてて、編成にW組がやたら入ってきてるのもあってですね。筆者の現在の編成でもヒイロとデュオを編成しています。でまぁ、思ってたんですよ、W組顔が良い少年多いよな……って。

あの有名な、「おまえを殺す!」デデン!チャラランチャラランって何話なんだと思ったら第1話で驚いたよね。いまならそのシーンYouTubeで無料で観れます。

てか未見の人はこの記事を読む前に見てくださいお願いします。

魅力その1・いまなお伝説として語られる第1話

www.youtube.com

OPから既に伝わってくる名作感。

そんで見たらもう色々とすごいのよ、例のシーン以前を挙げても、
地球にガンダムに乗って向かうヒイロ・ユイ(主人公)は地球降下中の初戦で悪役にしか見えない高笑いをしたあと撃墜されて海に落ちるし、
落ちた先ではリリーナ(ヒロイン)が急にミュージカルしだし、ヒイロがアクション映画ばりの鮮やかなアクションで救急車強奪して逃げていったシーンでもう限界だった。

そりゃ「なんなのこの人……」にもなるわ。いろいろと衝撃的すぎた……。

アニメ視聴にいまいち気力が沸かない筆者ですが、たぶんこれはいけるやつだ、と確信した(何より彼らのことがもっと知りたい!、と思ったのが大きい)のでその流れでDVD借りてきて完走してしまいましたという。いやぁ、第1話のつかみばっちりすぎる……。

魅力その2・今見ても先進的な展開

放送当時を知らない自分が言うのもなんだけど、1995年のアニメなのに今見てもこれは先進的なのでは……と思うようなところもちらほら。

ロボットアニメにおいてメカ戦闘ははずせないところ。
ガンダムは最強!戦闘になれば敵なしレベル!……なのだがそれだけでは上手くはいかず、パイロット達の思惑と裏腹に主人公サイドが(展開的には)負けていることが多いとか、
(ロボットモノって痛快でロボットかっこいい~!ってなるもんなんじゃないの!?いや一回一回の戦闘は良いんだけど、よくよく展開を振り返るとなんか複雑な思いになるバトルアニメは流石に珍しいんじゃないのって気がする。)

5体のガンダムとパイロット達が集合して特撮っぽく派手に活躍するのかなと思えば、正直あんまりその印象はなく独自でバラバラに行動してることの方が多いとか。
(絵柄の印象的には少年漫画的なのですが、友情というか距離感はそれとは違った雰囲気。ビジネスライク?)

パイロットに負けず劣らずサブキャラやヒロイン達も個性的とか。女性キャラも見てるだけで元気がもらえるくらい強い。
(女性キャラがここまで行動的なのも時代を考えたら珍しい気が。)

とにかく個性的な行動を取るキャラクターが多いので、独自の理念とかちょっとよく分からないですねと思って調べてみたら(流石に考察進んでるかと思って……)今でもそう言われてて頭抱えた。
本編だけでは説明不足な印象もあるが、ある程度はのちの関連作品でフォローされているものもある。

魅力その3・ぶっ飛んでいたパイロットとヒロインと愉快なキャラクターたち

こうやって別個に項目作って語りたくなるほど濃いキャラが多かったですね……!

ヒイロ・ユイ

第一話から誰もが確信したであろうやべー主人公。一度1話を見てみれば彼が今後どんな行動しでかすのか見てみたくなること間違いなし。ジャストコミュニケーションってそういう……。
兵士として教育されていたという経緯もあり、人間離れしてるような描写もあったりと、とっつきにくいヤツ感があるが、迷行動や失敗してることも多く、なんだろう、親しみを感じてしまうような。
任務遂行のためとあらば手段や自分の命すら厭わない描写があったりととんでもないやつ……だがリリーナや他パイロットたちと出会うにつれて変わっていくところも本作の見所の一つ。

口数が少なめな寡黙系キャラだが、強く印象に残るような名(迷)言が多いところも魅力。

余談だが、主人公機の扱いが悪い、というか道具扱いされてる……。
ちなみに主人公のパワーアップ機も一筋縄ではいかず、作中でなかなか面白い経緯を辿るのでそこに注目してみるのも面白いです。

デュオ・マックスウェル

第1話でわかる癒やし枠。外見やら言動やら自分の武器を理解してる感、良い。
ヒイロをやたら気にかける面倒見のいいヤツ……だが関わるとロクな目にあってない気がする!

後半の緊迫した展開の中でやたらと連続してたいへんな目にあっていたり、おまけに劇場版でもそういう扱いされたりしますがそれでも笑顔とユーモアと平和への想いを絶やさない。かわいそうかわいいね。

トロワ・バートン

第1話を見るに無口で影が薄そうなタイプでヒイロと被ってるように思えなくもなかった。その彼とはのちのち絡むシーンがあるが、性質が近いのか一番ジャストコミュニケーションしてるように見えた。
よく見てみると本編通してかなり出来るヤツ感。物語後半、ガンダムパイロットたちはみな厳しい状況に置かれるが、その一方彼は……とにかく終盤において重要な立ち回りに思わずかっけぇ……!と思ったね。

見た目的にもパイロットのなかでも大人びているように見える彼に弟属性がつくなんて予想もしなかったよね。「姉さん……」のギャップよ。

カトル・ラバーバ・ウィナー

第1話を見るに戦争を嫌う平和を愛しちゃんと話せば分かりそうな常識人枠美少年……だと思ったのに。なんかわりとふわふわしてる感じあるので、中盤あたりで自分の在り方と理想との不一致で精神崩壊するタイプだろうと思ってた。実際は……本編で確かめて欲しい!

たまによくわからない事を言い出すせいでなんかネタにされている。一応深い意味はあるらしい。

張五飛

第1話からなかなか面倒そうな個人プレーやつ。独自の思想を持っててそれで動いているせいで登場キャラからも視聴者からも誤解されてそう。だいたい孤独なイメージ。ただ彼も頭の切れる面を見せる出来る文武両道系強キャラ。

そのせいか本編より、EndlessWaltzや敗者達の栄光といった関連作で好感度の上がる男。自機をナタクと呼ぶ理由が重い、重すぎる。
……いやその重要な話本編で教えてくれよ五飛!まぁそういうところも彼らしいのかもしれない。

リリーナ様

第1話のEDでいきなりキャライメージが崩壊する。今見れば納得だけども!
パイロットがやべーならヒロインもすごいぞ。

容姿も立場もなにをとってもエレガントな絵に描いたようなお嬢様……だと思ったのに。彼女もパイロット達と同じく、戦争によって厳しい運命に巻き込まれていく……。
もちろん非戦闘キャラであるのだが、いろんな意味で強さを感じさせる。
ヒイロのためなら時折とんでもない行動力を発揮する。

あと本編で色々あって服装や髪型がころころ変わる。どれも凝ってて見てて美しいのでぜひ見ていただきたい。

トレーズ閣下

第1話ではなんで劇場でビデオ通話してるのか。その後しばらくテレワーク場所が変な人。それがまさか本作を代表するヤバい人だとは思わなかった……。
本作のよく分からないところについては彼に関することに集中してるとかなんとか。言動も難解だし行動もやべぇし思想も難しいといういろんな意味で本作の賛否が分かれるキャラ。
毎度毎度圧倒的カリスマと完璧超人ぷりを発揮してやべぇとは思ったけど、個人的にはある女性を狂わせていったシーンが怖かったです。
(筆者的には、当時よりもITやAI技術が発達した今見ると、無人兵器に関しては分かるところあるなぁ……時代が早すぎた。)

ゼクス・マーギス

第1話でヒイロを撃墜するというすごい実績を持つ。仮面まで被って出来るヤツ感あった軍人。
最初はトレーズ閣下の部下だったが彼なりの考えが芽生えていき……、
彼のその後の話についてはネタバレ全開するしかなさすぎてなにも言えなくなるので本編を見てくれ、以上。

そのほか(ざっくり)

このほかにも最初はゼクスのガチ勢にしか見えなかったノインさんとか、本編でもかなり暗躍していた強い女性枠サリィさんとか、マッドに見える5博士達とかキャラについて語りたい要素はあるけどその辺は本編を見て変化を楽しんでくれってことで……。

魅力その4・たまにあるシュールな光景

とりあえず第1話を見てやればだいたいわかるかと……。

少年漫画風の絵柄と、中世の貴族を彷彿とさせるような貴族社会の世界観で描かれるロボットアニメってところも中々無さそうな作風の本作。

そしてそんな中でツッコミ不在で真面目にシリアスやった結果、それがなんとも言えない光景になったというか。まぁ流石に話が進めば第1話のようなぶっ飛んだノリは抑えられていく。だいたいヒイロのせい。

あとロボットアニメに慣れていると作画がちょっと……と思う人も居る模様。
大体気が抜けたような作画してる、オープニングの作画がたぶん一番良い。
たまに覚醒した綺麗な作画になった時があるのですが、なんだろう、申し訳ないんだけどその時逆に笑いが込み上げてきた。ギャグマンガの逆作画崩壊現象か?
なお筆者は90年代のテレビアニメだから作画に関してはこんなもんなんだろう、とあんまり疑問もなく完走したのですが。

魅力その5・『平和とはなにか』を問う、敵味方思惑絡み合うシリアスなストーリー

ここまで書くとシュールなギャグアニメ臭漂う本作ではあるが、込められたテーマはシリアス。
オペレーションメテオを通して出会った少年達の目的、真の平和とは何か、戦争における無人兵器の利用、兵器のような少年と出会った少女の関係、……、それらを巡り、地球宇宙敵味方の思惑が入り巡り絡み合うシリアスなストーリーが展開される。

たぶんここの理解が完走するうえで壁の一つかなぁと……。敵と味方の陣営関係が入れ替わってるような展開があり、パイロット達もバラバラに動いているので、視点も多く把握が大変。なぁに、キャラ愛でいけるいける。

複雑というかこんがらがりそうな内容ではあるので、理解するためにも頑張ってメモを取りながら見ていたのですが(珍しくメモが役に立った作品だったな……)、めぐるましい展開の裏で名言名シーンが多くてメモを取る手がとまらない!
台詞回しとかも(まぁよくわからなかったりするときもありますが)特徴的で、独特の世界観を作っていましたね。

本編を一気に把握しようとすると複雑なので、一人一人のキャラ視点に注目して視聴してみる、というのも一興かもしれない。

新機動戦記ガンダムW Endress Waltz 特別編

本編見たら次はこれ!とのことで。過去にリリースされたOVAを劇場版に再編集したものらしい。

なんともいえない気の抜けた作画が印象に残る本編とは打って変わって、この映画の作画がすごい!1998と聞いてたのですが、冒頭の船内の作画からこりゃやべえ、超作画で描かれるデュオの操縦技術ぱねぇ。そりゃ技術をあてにされるぜ!

生まれ育つ年代間違えたかったわ、これを劇場の大スクリーンで観られた人羨ましい……!

作画面が目を惹くが、パイロットの関係性を重視した本作らしく、本編後の彼らの会話を再び見られただけで満足度高し。ヒイロくんあんなに穏やかな表情見せちゃって……。そうそう、オペレーションメテオ実施以前のパイロットたちの過去回想シーンあるとか聞いてない!!

特に満足したのは五飛絡み。劇場版込みだとTVシリーズからもっとも印象が変わったキャラかも。
真のオペレーションメテオの内容を聞いて自分の正義を通したいと答える所とか……。最後は五飛の思う正義が実を結んだんだな……としみじみ。
また珍しい五飛vsヒイロの戦闘シーンでは、やりとりもすごく印象的だった。あの有名な台詞も飛び出す!

てかモビルスーツが劇場版仕様のデザインになってるかっけーーー!!!!
ウイングゼロにメカものらしからぬデザインの羽根がついていたのは驚いたけど、あれは美しすぎるでしょ。
戦い続ける少年たちの元に現れたウイングゼロとヒイロがボロボロになりながらもバスターライフルを撃つシーンには暖かさと神々しさで伝説を目撃したような気持ちになりました……。

ただ、ただ一つ後悔してるのは……、
この作品より先に某パロディ作品を先に知ってしまっているせいで名シーンでお腹が痛いという事!!!元ネタこれだったのか……。

新起動戦記ガンダムW EndlessWaltz 敗者達の栄光(全14巻)

Wはこのコミカライズ版がおすすめと聞いたので。TV版のストーリーがわりと難しめなのもあって、復習がてらおかわり。

とにかく絵が綺麗、とのことと、モビルスーツは劇場版世界観仕様のデザインになっていて、じっくり堪能できるのが良いですね。

内容はTVストーリーをベースに、過去にリリースされた小説、ドラマCDなどで明かされた設定などを含め再構築したような感じ。
一部アニメにあった名言とかシーンとかは改変されていたりするので、これ単品だけでさくっと履修するってのは(本作で語り草になるネタを網羅する意味では)向いていないかも……だが、 キャラの設定について明かされてたり(上記の五飛の件)、改変箇所で新たな活躍が見られたりとかあるので気に入ったら抑えておきたい一作かも。この内容をしっかりまとめて全14巻と手頃なのも◎。

本編でシュールだった要素が薄まってシリアス要素がマシマシになってたのが個人的には痺れた。やっぱかっこいいんだよなぁ……。

視聴……完了

特にTV版については筆者が生まれる前に放映された作品なのもあって、機会が無かったら一生見ることが無かったであろう。
もしも筆者が当時の学生で、リアルタイムで見れてたらめちゃハマってただろうな〜とも思うけど見たのが今でちょっと安心してたりもする。長寿シリーズに感謝……。

15歳くらいの少年と少女が、時代に思想に振り回され過酷な運命に晒される系が大好物の人におすすめだと思います。

ガンダムシリーズということで戦争描写はもちろんありますが、作画や主に本編でも重要なテーマとなる無人兵器の存在もあってか他シリーズよりは生々しさ多少抑えめかも?なのでそういうのが苦手な人でも比較的見やすいほうかもしれない。子供向けで作られたはずのAGEのが正直しんどかった
人間キャラの関係性重視ってことで、あんまりロボットアニメに慣れていない人なら欠点に挙げた作画も気にならないかも。

女性にウケる少年漫画ってわりと傾向がある気がしますが、特にテニプリや幽遊白書とのシンパシーを感じる、と妹氏は称していた。分かる気がする。

ジャンルがジャンルなので敬遠されがちかもしれないが、出来るなら見といた方がいい作品なんじゃないかと思えてきた。いや、わりと真面目に。

本編があまりにも衝撃的すぎる展開なのもあるが、本編の内容のみならず放送当時のオモシロエピソードが今でもネットで語り草にされているので、その意味が分かるようになれるとめちゃくちゃ笑えてしまう。視聴後の他人の感想も楽しめて二度美味しい。
印象に残るシーンや名(迷)言が多くて、文字で見ただけで笑えるようになったので見るべきですわ、これについては本編見た人だけの特権だと思う。

有名作品はそういう所あるよなぁ……本作の場合本編見てなくても面白いっちゃ面白い気がするけども。

おまけ

90年代アニメ特有の絵柄すこ。